Massage Academy

THIRD / BODYWORK EDUCATION
Practitioner Training

TOUCH.
BODY.
HOSPITALITY. 初心者のための
オイルトリートメント・ボディワーク基礎講座

オイルトリートメントは、 ただオイルを塗って身体を揉む技術ではありません。 皮膚、筋肉、筋膜、呼吸、姿勢、神経系、 そして相手の安心感まで含めてひとつの施術体験になります。 ここでは初心者の施術者がまず理解しておきたい基礎を、 実践に結びつく形で整理します。

本ページは、THIRDの施術者教育用コンテンツです。 医療行為や診断を目的とするものではなく、 リラクゼーション・ボディワークに必要な基礎知識と安全意識を扱います。

01
Lymph & Oil Treatment

リンパ系と
オイルトリートメント。

オイルトリートメントでは、 皮膚や皮下組織に対して穏やかなストロークを行います。 その際に理解しておきたいのが、 リンパ管・リンパ液・リンパ節からなるリンパ系です。

リンパとは何か

リンパ系は、全身に分布するリンパ管、 その中を流れるリンパ液、 そして途中に存在するリンパ節などから構成されます。 さらに脾臓、胸腺、扁桃など、 免疫機能に関わるさまざまな器官とも関連しています。

リンパ管は血管とは別のネットワークを形成し、 最終的には首の付け根付近で静脈系へ合流します。 血液循環とは別に存在する補助的な循環システムとして、 組織液の回収、脂質の運搬、免疫機能などに関わっています。

Basic Anatomy

毛細血管からは液体成分が組織へ移動します。 その多くは静脈側へ戻りますが、 一部はリンパ毛細管へ入りリンパ液となります。 このリンパ液は最終的に静脈系へ戻ります。

リンパ系の主な役割

  • 組織にたまった余剰な水分やタンパク質を回収する
  • リンパ球などの免疫細胞が働く場をつくる
  • 腸管から吸収された脂質を運搬する
  • リンパ節で異物や病原体への免疫反応を行う

風邪や感染症のときにリンパ節が腫れることがあるのは、 免疫反応が起きているためです。 ただし、施術者がリンパ節の腫れを自己判断で 「流せばよい」と考えて強く触るべきではありません。

リンパ液はどのように移動するか

血液は心臓という強力なポンプによって循環しますが、 リンパ液には心臓のような単一の大きなポンプはありません。

リンパの移動には、 骨格筋の収縮、呼吸運動、周囲組織からの圧力、 そしてリンパ管自体の収縮などが関係しています。 リンパ管には逆流を防ぐ弁があり、 一方向に移動しやすい構造になっています。

そのため、長時間同じ姿勢が続くと 下肢などにむくみが出やすくなることがあります。 日常生活では軽い運動、歩行、姿勢変換なども重要です。

主なリンパ節

耳周囲

耳の前後や顎の周囲には複数のリンパ節があります。頭部や顔面周辺からのリンパが流れ込みます。

顎下・頸部

顔、口腔、咽頭などからのリンパが集まります。感染症などで腫れることがあります。

腋窩

わきの下に存在し、上肢、胸部などからのリンパが集まります。

鎖骨周囲

大きなリンパ本幹が静脈系へ合流する重要な領域です。ただし深く強い圧を加える場所ではありません。

腹部・骨盤

腹部や骨盤内には多数のリンパ節が存在します。

鼠径部

太ももの付け根周辺にあり、下肢などからのリンパが集まります。

膝窩

膝の後ろにあり、下腿や足部からのリンパが流れ込みます。深く強く押し込む場所ではありません。

オイル施術で意識すること

表在性のリンパ管は皮膚に近いところにあるため、 リンパ系を意識した手技では必ずしも強い圧は必要ありません。

手のひらや指腹を広く使い、 皮膚を穏やかに動かすようなタッチから始めます。 「強く押してリンパを絞り出す」という考え方ではなく、 相手が安心できる軽い接触を基本にしてください。

Important

医療として行われるリンパ浮腫への複合的治療や マニュアルリンパドレナージと、 リラクゼーション目的のオイルトリートメントは同じものではありません。 明らかな浮腫、術後リンパ浮腫、急な片脚の腫れなどがある場合は、 自己判断で強い施術を行わないでください。

まずは、
強く押すより丁寧に触れる。
THIRD BODYWORK PRINCIPLE
02
Muscle & Pressure

筋肉と圧を
理解する。

オイルトリートメントでも、 筋肉に対して適切な圧を加える場面があります。 そのためには、ただ強く押すのではなく、 筋肉の位置と走行、深さを理解する必要があります。

「こり」は一つの原因だけではない

日常的に「こっている」と表現される状態には、 筋肉の持続的な緊張、同じ姿勢、運動不足、 オーバーユース、睡眠不足、心理的ストレスなど、 複数の要因が関係することがあります。

以前は「乳酸や老廃物がたまるからこる」と単純に説明されることがありましたが、 現在ではそれだけで説明できるとは考えられていません。 痛みや筋緊張には、局所の血流、神経系、感覚過敏、 心理状態なども関係します。

圧迫と解放

筋肉に圧を加えると、 その部分への血流は一時的に変化します。 圧を抜くことで局所の血流が変化することもあります。

ただし、 「血を止めてから流せば必ず老廃物が取れる」 という単純な原理ではありません。 施術では、組織を傷めない範囲で圧を調整することが大切です。

リンパと筋肉では圧が違う

ここで初心者が混乱しやすいのが、 「リンパでは軽く触れるのに、 筋肉にはある程度の圧を加えるのか」という点です。

答えは、 目的と対象組織によって圧を変える ということです。

皮膚表面をゆっくりストロークするときと、 厚い筋肉を触診するときでは、 同じ圧ではありません。 重要なのは「強いか弱いか」ではなく、 「どの組織を触っているか」を意識することです。

01 / TARGET

骨を押さない

狙うのは筋腹です。骨や関節を強く押す必要はありません。

02 / SPEED

急に深く入らない

表層からゆっくり沈み、相手の反応を確認しながら深さを調整します。

03 / BODY

指だけで頑張らない

手首や指だけでなく、施術者自身の重心移動を使います。

04 / RESPONSE

痛みを我慢させない

痛み、しびれ、鋭い刺激がある場合は圧を弱めるか中止します。

Practitioner Note

オイルトリートメントでも、 軽いストロークだけで終える必要はありません。 相手の希望や状態に応じて、 筋肉に対する持続圧や圧迫を組み合わせることはできます。 ただし、強圧そのものを施術の価値にしないことが重要です。

03
Fascia & Connection

筋膜と
身体のつながり。

筋肉は単独で存在しているわけではありません。 筋線維、筋束、筋全体は結合組織によって包まれ、 周囲の組織と連続しています。

筋膜とは

筋肉には、 筋線維一本一本を包む筋内膜、 筋線維の束を包む筋周膜、 筋全体を包む筋外膜があります。

これらの結合組織は筋肉を支え、 筋肉が発生した力を周囲へ伝える役割にも関わります。

「筋膜が硬い」とはどういうことか

施術現場では、 「滑りが悪い」「張っている」「硬い」と感じることがあります。 ただし、それを単純に「癒着している」「剥がせば治る」と 判断することはできません。

組織の硬さには、 筋緊張、結合組織、皮下組織、神経系の状態など 複数の要因が関係しています。

筋膜リリースという言葉

「筋膜リリース」という名称は広く使われていますが、 実際に施術によって筋膜を物理的に 「引き剥がす」という意味ではありません。

持続圧、伸張、ストローク、姿勢調整などを使い、 軟部組織へ穏やかな刺激を与える手技の総称として 理解してください。

筋膜ラインという考え方

ボディワークの教育では、 筋膜や筋肉の連続性を理解するために、 身体をいくつかのラインとして捉えるモデルがあります。

01

浅層前面ライン

身体前面の筋群を連続的に見る考え方です。

02

浅層背面ライン

足底から背面、後頭部までを連続して見るモデルです。

03

サイドライン

身体側面の支持やバランスに関わる筋群をまとめて見る考え方です。

04

スパイラルライン

体幹や四肢の回旋に関わる連続性を理解するモデルです。

Important

筋膜ラインは身体全体を理解するための教育モデルです。 「肩が痛い原因は必ずふくらはぎにある」というように、 一つのラインだけで痛みの原因を断定することはできません。

施術者として覚えておきたいのは、 痛みや張りを感じる場所だけを強く揉むのではなく、 周辺部位、姿勢、動き、左右差なども含めて 身体全体を見るということです。

04
Muscle Knots & Trigger Points

筋硬結と
圧痛点。

タッチをすると、 周囲より硬く感じる部位や、 押したときに痛みを感じる部位に出会うことがあります。

筋硬結とは

「筋硬結」という言葉は、 筋肉の一部に局所的な硬さや 圧痛を触れる場所を表現する際に使われます。

施術現場では、 ゴリッとした硬さ、 紐のような索状感、 押したときの鈍い痛みなどとして 感じる場合があります。

なぜ硬くなるのか

原因を単純に 「乳酸がたまったため」と説明することは適切ではありません。

筋緊張、オーバーユース、 長時間の同じ姿勢、 微細な組織ストレス、 感覚神経の過敏化、 心理的ストレスなど、 複数の要因が関係すると考えられます。

トリガーポイントとの関係

トリガーポイントという言葉は、 押したときに局所痛や関連痛を引き起こす圧痛点を 表現するために使われます。

ただし、 筋硬結とトリガーポイントの定義や診断法については 現在も議論があります。 施術者が医学的診断として 「ここがトリガーポイントだから病気の原因だ」と 断定することは避けてください。

よく触れる部位

  • 僧帽筋
  • 肩甲挙筋
  • 胸鎖乳突筋周辺
  • 腰方形筋
  • 脊柱起立筋群
  • 中殿筋
  • 大殿筋
  • 梨状筋周辺
  • ハムストリング
  • 腓腹筋
Remember

硬い場所を見つけたからといって、 そこを強く潰す必要はありません。 「硬さを取る」より、 相手の身体が緊張を手放せる刺激を選ぶことが大切です。

05
Palpation & Pressure

タッチと
圧の入れ方。

施術の質は、 強い圧を使えるかどうかではなく、 身体をどれだけ丁寧に観察できるかで変わります。

施術の順序

1. 観察

左右差、姿勢、皮膚の色、腫れ、傷、赤みなどを確認します。

2. 表層

指腹や手のひらで軽く触れ、皮膚や皮下組織の滑り、温度、緊張感を確認します。

3. 中層

少しずつ圧を深めて筋肉の位置、厚み、弾力を確認します。

4. 深層

深い組織へ入る場合も急に押さず、呼吸と反応を見ながら徐々に沈みます。

筋線維の方向を見る

筋肉には走行があります。 起始と停止の方向を意識すると、 触っている筋肉が理解しやすくなります。

筋線維に沿って触れる方法と、 筋線維を横切る方向に触れる方法では 感触が異なります。

「押す」より「待つ」

急に深く押し込むと、 相手が防御的に身体を固めることがあります。

施術では、 表面から徐々に沈み、 相手の呼吸や筋緊張が変わるのを待つようにします。

持続圧

圧痛点や硬く感じる場所に対して、 一定時間、穏やかな圧を保つ方法があります。

  • 急に深く押さない
  • 痛みを10段階で確認するなら4〜5程度までにする
  • 鋭い痛みやしびれがあれば中止する
  • 20〜60秒程度から様子を見る
  • 圧を抜くときもゆっくり戻す

ストリッピング

筋線維の方向に沿って、 ゆっくりと圧を移動させるストロークです。

同じ場所を何度も強く擦るのではなく、 2〜5回程度の少ない回数から始めてください。

呼吸と合わせる

呼気に合わせてゆっくり圧を加え、 吸気では少し待つ、 あるいは圧を弱める方法があります。

呼吸と動きを合わせることで、 相手が力を抜きやすくなることがあります。

強さより、
深さ・速度・タイミング。
Pressure is not everything
06
Position & Release

筋肉が緩みやすい
姿勢をつくる。

マッサージでは、 「どこを押すか」と同じくらい、 「どんな姿勢で施術を受けてもらうか」が重要です。

ポジショナルリリースという考え方

ポジショナルリリースは、 筋肉が楽に感じる姿勢へ身体を動かし、 その状態を一定時間保つことで 筋緊張の変化を促す考え方です。

オステオパシーなどで発展した カウンターストレインや Positional Release Therapyなどにも 類似した考え方があります。

筋紡錘

筋肉の中には、 筋の長さや伸ばされる速度を感知する 「筋紡錘」という感覚受容器があります。

筋肉が急に伸ばされると、 伸張反射によって 反射的に収縮が起きることがあります。

そのため、 無理に伸ばすよりも、 筋肉が楽に短縮できる姿勢に置いた方が 緊張が少なく感じられることがあります。

基本的な探し方

  1. 張りや圧痛を感じる筋肉を確認する
  2. その筋肉が張らない方向へ関節を少し動かす
  3. 最も楽に感じる位置を探す
  4. クッションやタオルで支える
  5. 無理に動かさず、しばらく保持する
  6. ゆっくり中間位へ戻す

部位別の考え方

僧帽筋上部

肩を少し挙上させ、首を本人が楽に感じる方向へ軽く傾けます。

肩甲挙筋

肩甲骨を支え、首と肩に緊張が出ない位置を探します。

背部

クッションを使い、胸郭や肩甲骨が自然に支えられる位置をつくります。

腰部

仰向けでは膝下にクッションを入れると、腰部の緊張が軽くなる場合があります。

臀部

股関節や膝を軽く曲げ、お尻の筋肉が張らない位置を探します。

ハムストリング

膝を軽く曲げることで太もも裏の張りを減らせる場合があります。

ふくらはぎ

膝を少し曲げ、足首を強く反らせない位置にします。

Safety

ポジショナルリリースは、 関節を無理に動かす技術ではありません。 強い回旋、過伸展、反動を使わず、 本人が楽に感じる範囲だけで行います。

特に頸部では、 前頸部や頸動脈洞周辺へ深い圧を加えないでください。 また首を大きく反らせたり、 強くひねる操作も避けます。

07
Touch & Pleasantness

心地よい触れ方を
設計する。

施術は治療行為ではありません。 リラクゼーションでは、 「気持ちよさ」「安心感」「静けさ」そのものが 施術体験の重要な部分です。

ストロークは大きく、ゆっくり

小さくせわしない動きが続くと、 相手は落ち着きにくくなります。

腕なら手から肩へ、 脚なら足首から太ももへというように、 長いストロークをゆっくり使うことで 施術全体の流れが滑らかになります。

C触覚求心性線維

皮膚には、 ゆっくりした穏やかな接触に反応する C触覚求心性線維と呼ばれる神経線維があります。

研究では、 数cm/秒程度のゆっくりしたストロークが 心地よく感じられやすいことが示されています。

「必ず5cm/秒でなければならない」という意味ではありません。 重要なのは、 相手が安心できる一定したスピードで 滑らかに触れることです。

呼吸を乱さない

リラックスしている人は、 呼吸がゆっくりになることがあります。

施術者自身も呼吸を急がず、 相手の呼吸のリズムを感じながら 手技の速度を調整するとよいでしょう。

指先ではなく、指腹と手のひら

指先だけで押すと刺激が鋭くなりやすく、 施術者の指にも負担がかかります。

指腹、母指球、手のひら、 前腕などを使い分け、 面で圧をかけることを意識します。

触れる瞬間と離れる瞬間

施術の心地よさを左右するのは、 「押している最中」だけではありません。

急に触れる、 急に手を離す、 タオルを乱暴に動かすといった動作は、 深くリラックスしている人を驚かせます。

触れる瞬間も、 手を離す瞬間も、 できるだけ静かに行ってください。

08
Hospitality

施術は、
予約前から始まる。

手技が上手でも、 接客や環境に不安があれば、 相手は身体を預けることができません。

予約対応

シフトが分かりやすく更新されているか。 料金や場所が明確か。 予約への返信が丁寧か。 案内文に失礼がないか。

施術者と会う前から、 相手はあなたのサービスを評価しています。

身だしなみ

  • 爪を短く整える
  • 手指を清潔にする
  • 匂いに配慮する
  • 清潔な衣類を着る
  • タオルやリネンを清潔にする

室温と環境

オイル施術では肌を出す時間が長いため、 室温が低いと身体が緊張します。

暑すぎても不快なので、 相手の体感を確認しながら調整してください。

会話は受け身で

会話を楽しみたい人もいれば、 静かに休みたい人もいます。

施術者が一方的に話し続けると、 相手の頭が休まりません。 基本は受け身で、 相手から話しかけられたら自然に返すくらいで十分です。

同意と境界線

身体に触れるサービスでは、 相手の同意が最優先です。

  • 触れてほしくない部位を確認する
  • 圧の好みを確認する
  • 痛みがないか聞く
  • 体勢を変える前に声をかける
  • 露出を必要最小限にする

施術者自身の身体も守る

自分の腰を曲げ続けたり、 指だけに力を集中させたりすると、 施術者自身が身体を痛めます。

ベッドの高さ、 立ち位置、 重心移動を調整し、 長く続けられる施術姿勢を身につけてください。

また、 相手の背中や身体の上へ 自分の体重を必要以上に乗せないようにしてください。

TECHNIQUE
×
HOSPITALITY
Both create the experience
Practical Guide

筋硬結リリース
実践ガイド。

ここまでの内容を、 実際の施術の流れに沿って整理します。

1. 観察する

姿勢、左右差、皮膚の色、腫れ、傷、緊張感などを確認します。

2. 表層から触る

最初から深く押さず、手のひらや指腹で表層の感触を確認します。

3. 筋肉の走行を確認する

筋線維の方向、骨との位置関係を意識しながら、触っている筋肉を確認します。

4. 圧をゆっくり加える

相手の呼吸や表情を見ながら、少しずつ深さを増やします。

5. 持続圧を使う

硬く感じる部位には、無理のない範囲で一定時間圧を保ちます。

6. ストロークを使う

筋線維の方向に沿って、ゆっくりストロークを行います。

7. 楽な姿勢をつくる

クッションやタオルを使って、筋肉が緩みやすい姿勢をつくります。

8. 呼吸を合わせる

息を吐くタイミングに合わせて圧を少し深めるなど、相手の呼吸を邪魔しない施術を心がけます。

9. 反応を見る

硬さが少し変わる、呼吸が深くなる、表情が緩むなど、相手の反応を観察します。

10. 施術後

急に立ち上がらせず、 少し身体を休めてもらいます。

水分補給、軽い運動、 無理のないストレッチ、 十分な睡眠など、 一般的なセルフケアを案内してもよいでしょう。

Safety First

技術より、
安全を優先する。

判断に迷うときは、 施術しないことも施術者の技術です。

01 / ACUTE PAIN 急な強い痛み

原因不明の急性痛には強い施術を行いません。

02 / INJURY 外傷・骨折疑い

転倒や事故の直後は医療機関を優先します。

03 / SWELLING 急な腫れ

特に片脚だけの急な腫れや痛みは施術しません。

04 / BLOOD VESSEL 血管疾患

血栓が疑われる場合や強い静脈瘤には深い圧を避けます。

05 / SKIN 皮膚感染・傷

傷、化膿、感染が疑われる皮膚には直接触れません。

06 / FEVER 発熱・感染症

発熱や体調不良がある場合は施術を延期します。

07 / SURGERY 手術後

術後や治療中は必要に応じて医療機関へ確認します。

08 / NUMBNESS しびれ・筋力低下

新たに出現したしびれや筋力低下がある場合は医療機関を優先します。

09 / NECK 頸部前面

頸動脈周辺へ深い圧を加えません。

Philosophy

MASSAGE IS
NOT JUST
TECHNIQUE.

身体を知ること。
触れ方を知ること。
呼吸を見ること。
相手を尊重すること。

そして、 技術を見せるのではなく、 相手が安心して身体を預けられる時間をつくること。

施術は職人の仕事です。
数年で終わるものではありません。 学べば学ぶほど、 身体の奥深さが見えてきます。

焦らず、 一つずつ身につけてください。

THIRD BODYWORK EDUCATION

実践
オイルトリートメント講座 BEGINNER / 90 MINUTES

足裏から脚、臀部、背中、肩、腕、腹部、胸郭、フェイスまで。 初めて全身オイルトリートメントを学ぶ施術者のために、 90分の基本的な流れを実際の施術順に整理します。

LEVEL / BEGINNER BODYWORK OIL TREATMENT 90 MIN
INTRODUCTION

まず「流れ」を
身体で覚える。

オイルトリートメントには数多くの理論、流派、手技があります。 この講座では、そのすべてを網羅するのではなく、 初心者がまず90分の全身施術を組み立てられることを目標にしています。

一つひとつの技術を単独で考えるのではなく、 「次の部位へ自然につなぐ」「お客様の呼吸を乱さない」 「途切れた印象を与えない」という流れを大切にしてください。

BEFORE SESSION

施術前には、その日の体調、既往歴、服薬、皮膚の状態、 アレルギー、痛みや不調のある部位などを確認します。 発熱、感染症が疑われる状態、急性の炎症、手術直後など、 マッサージが適切でない可能性がある場合には施術を行わず、 必要に応じて医療機関への相談を案内してください。 食後すぐや多量の飲酒後の施術も避けます。

90 MIN FLOW
01
10 MIN
足裏
02
20 MIN
ふくらはぎ・大腿後面
03
25 MIN
臀部
04
40 MIN
背中
05
50 MIN
肩・首周辺
06
60 MIN
仰向け・脚
07
75 MIN
手・腕
08
90 MIN
腹部・胸郭・仕上げ
01
FOOT / START

足裏から始める

施術目安 10分 | TOTAL 10 MIN
PREPARATION

ドレーピングと環境確認

シャワー後、まずうつ伏せになっていただき、 タオルなどで身体を覆うドレーピングを行います。 室温、ベッドの硬さ、枕の位置などが快適かを確認してください。

最初からオイルを使用するのではなく、 まず足裏を手で触れながら施術を始めます。 お客様にとっても施術者にとっても、 身体と呼吸のペースを合わせる導入になります。

POINT 01

湧泉

足の指を曲げたとき、足裏の前方寄りにできるくぼみ付近に 「湧泉」と呼ばれる経穴があります。 おおよそ足裏を縦に3等分したとき、 指側から約3分の1付近が目安です。

東洋医学では古くから全身状態と関連づけて扱われてきた経穴です。 両手の親指などを使い、 お客様が痛すぎない範囲で数秒程度ゆっくり圧を加え、 ゆっくり抜く動作を繰り返します。

POINT 02

失眠

踵の中央付近には「失眠」と呼ばれる奇穴があります。 一般的な経絡に属さない独立した経穴の一つです。

足裏は経穴、反射区、足底筋膜など、 さまざまな考え方からアプローチできます。 特定の一点だけを強く押すのではなく、 足裏全体をゆっくり満遍なく触れていくことを基本にしてください。

10 MINUTES

フット専門店では足裏だけで長時間施術することもあります。 全身オイルトリートメントでも左右5分ずつ行えば、 足裏だけで約10分の導入になります。

02
BACK OF LEG

ふくらはぎから
大腿後面へ

施術目安 10分 | TOTAL 20 MIN

オイルトリートメント開始

足裏が終わったらオイルを使用します。 左脚から始め、末端側から身体の中心方向へ、 ゆっくりとストロークをつないでいきます。

STEP 01

アキレス腱周辺

まずアキレス腱周辺を包み込むように触れます。 腱そのものを強く押し込むのではなく、 周囲の組織の状態を確認しながら丁寧に行います。

STEP 02

ふくらはぎ

アキレス腱の少し上から膝裏の手前まで、 指の腹を使ってゆっくり擦り上げます。 内側だけ、外側だけに偏らず、 ふくらはぎ全体を何本かのラインに分けるイメージで行います。

指の腹で行った後は、 同じ方向へ手のひら全体を使ったストロークを加えます。

STEP 03

太ももの後面

続いて太ももの裏側も同じ考え方で行います。 部位や体格に合わせて指、掌、掌根などを使い分けてください。

自分の腰を丸めたまま腕力だけで行うのではなく、 足の位置を変え、身体の重心移動を使います。 施術者自身が楽な姿勢を取れることも重要な技術です。

左脚が終わったら右脚も同じ流れで行います。 内側、中央、外側まで偏らないように触れてください。

お客様の呼吸が次第にゆっくりしていくような速度を意識します。 硬さや圧痛には個人差があるため、 必ず圧の強さを確認しながら行います。

承山

ふくらはぎには「承山」と呼ばれる経穴があります。 東洋医学で脚や腰に関連する経穴として扱われてきたポイントです。 位置を確認したうえで、 指の腹を使いゆっくり数秒程度圧を加えます。

03
HIP / GLUTEAL

臀部

施術目安 5分 | TOTAL 25 MIN

解説上は章を分けていますが、 実際の施術では「左脚→左臀部」、 「右脚→右臀部」という流れで続けると自然です。

STEP 01

掌全体で流す

筋線維の方向を意識しながら、 手のひら全体を使い、 下方から斜め上方へ大きくストロークします。

STEP 02

掌根でアプローチ

続いて掌根を使い、 広い面で組織を捉えながら 下から斜め上へ動かします。

STEP 03

ポイントで押圧

最後に指の腹などで複数のポイントを確認します。 旧講座では4ルート×3点ほど、 約12か所を目安としていました。

骨を直接強く押さず、 痛みやしびれが出る場合は直ちに圧を弱めるか中止してください。

04
BACK

背中

施術目安 15分 | TOTAL 40 MIN

背骨そのものではなく、 その両側を見る

背中には、さまざまな伝統的・現代的ボディワークの考え方があります。 タイ古式マッサージのセン、 東洋医学の経絡、 反射区、 筋膜の連続性など、 理論は異なっていても背骨の両側を重要視する考え方は多く見られます。

初心者はまずこのエリアを丁寧に扱うことから始めてください。 脊椎や骨そのものを強く押さないことが重要です。

2本のライン

初心者向けには、 タイ古式マッサージで説明されるような 背骨の横のラインを目安にすると理解しやすくなります。

1本目は背骨のすぐ横にある筋肉のライン、 2本目はそこからさらに外側です。

オイルを使い、 下方から上方へ親指の腹などを滑らせます。 圧を一点に集中させず、 ゆっくりした速度を守ります。

指だけの施術を連続させると刺激が強くなりやすいため、 手のひら全体を使った軽擦を間に入れます。

例えば、 「1ライン → 2ライン → 掌によるロングストローク」 という組み合わせを繰り返します。

下から肩方向へ、 あるいは外側へ向かうストロークなど、 方向を少しずつ変えて全体をつなぎます。

最後にポイントを確認する

大きなストロークで組織を温めた後、 先ほど通ったラインを指の腹で 一つずつ丁寧に確認します。

志室

腰部には東洋医学で「志室」と呼ばれる経穴があります。 正確な解剖学的位置を確認したうえで、 強く押し込まず、ゆっくり触れてください。

05
SHOULDER

肩・首周辺

施術目安 10分 | TOTAL 50 MIN

肩周辺の緊張を訴える方は多くいます。 ここだけを急に強く揉むのではなく、 それまでに脚、臀部、背中を丁寧に触れていることが重要です。

肩周辺の施術に入る前に、 腕を少し上方へ動かすなど、 お客様が無理なく力を抜ける姿勢をつくります。

経穴を使う場合

伝統的な経穴を利用する場合は、 必ず解剖学的位置を確認してください。 経穴はわずかな位置の違いで意味が変わるため、 名前だけを覚えて自己流で強く押さないようにします。

特に首の前側には重要な血管や神経があります。 頸動脈周辺を押圧しないでください。 初心者は基本的に身体の背面側を中心に扱います。

背面を一つにつなげる

ポイントへの施術が終わったら、 足元から肩まで両手のひらを連続して滑らせます。

ここまで脚、臀部、背中、肩と パーツごとに施術してきたものを、 最後のロングストロークで 「一つの全身施術」としてつなぎます。

これで背面の基本施術は終了です。

SHORT SESSION

60分など短い施術を組み立てる場合、 動作そのものを速くするのではなく、 一つひとつのストロークはゆっくり保ったまま 手技の種類や回数を減らします。

06
SUPINE / FRONT LEG

仰向け・脚

施術目安 10分 | TOTAL 60 MIN

お客様に仰向けへ体勢を変えていただきます。 このタイミングで、 トイレや水分補給の必要がないか声をかけてもよいでしょう。

左脚の踵付近から始め、 脛骨など骨そのものを押さないように注意しながら、 内側・外側を複数のラインに分けて 膝方向へゆっくりストロークします。

三陰交・足三里

東洋医学の考え方を取り入れる場合には、 三陰交や足三里などの経穴も確認できます。 正しい位置を確認し、 強い痛みを出さない圧で数秒程度ゆっくり触れます。

太もも

膝周辺から太ももの付け根方向へ、 手のひらと指の腹を使ったストロークを行います。 一本のラインだけを繰り返すのではなく、 太もも全体を覆うようにルートを変えます。

IMPORTANT

鼠径部には大腿動脈など重要な血管・神経があります。 血流を止めるような強い圧迫は行いません。 鼠径部周辺を扱う場合は解剖学的位置と禁忌を理解し、 必要以上に深く押し込まず、 掌による穏やかな軽擦を基本とします。

左脚が終了したら、 同じ順番で右脚へ移ります。

07
HAND / ARM

手・腕

施術目安 15分 | TOTAL 75 MIN

下半身が終わったら、 左手から手と腕の施術を行います。

手のひらには多くの経穴や、 リフレクソロジーで扱われる反射区があります。 一点を急いで押すのではなく、 指の腹でゆっくり全体を確認します。

手のひらだけで片側約3分程度使っても構いません。

労宮

手のひらには「労宮」と呼ばれる経穴があります。 リフレクソロジーで太陽神経叢に対応するとされる位置とも 近い場所にあります。

理論体系は異なりますが、 異なるボディワークで似た場所が重視されている点を 比較して学ぶのも興味深いでしょう。

手の甲

手のひらの施術が終わったら、 自然な流れで手の甲へ移ります。

合谷

手の甲には「合谷」と呼ばれる代表的な経穴があります。 人差し指側の骨格を確認しながら位置を取ります。 経穴の位置は図だけでは誤認しやすいため、 解剖や専門資料も併用してください。

腕へつなぐ

再び手のひら側を上にして、 手首から腕へ移ります。

神門や内関などの位置を確認した後、 骨そのものを押さず、 筋肉のラインに沿って手首側から肩側へ進みます。

指による施術の後は、 手のひらで複数のラインをまとめて覆うように オイルストロークを行います。

左手・左腕が終了したら、 同じ順番で右手・右腕へ移ります。

08
ABDOMEN / CHEST / FINISH

腹部・胸郭・
全身の仕上げ

施術目安 15分 | TOTAL 90 MIN

腹部

腹部は特にデリケートなエリアです。 必ずお客様の同意を確認し、 非常に穏やかな軽擦から始めます。

へそ周辺を中心に、 「の」の字を描くような大きな円をイメージして 時計回りに優しく触れます。

右下腹部から始め、 右側、上部、左側、左下腹部へと移る流れを 一つの目安とします。

腹部のポイントを扱う場合も、 深く押し込まず、 軽く触れるか小さな円を描く程度から始めます。

腹痛、急性症状、術後、妊娠中など、 腹部への施術が適切でない場合には行いません。

鎖骨下

次に鎖骨の下を、 身体の中央側から外側へ向けて 左右それぞれ数回軽擦します。

ロングストロークのまま腕方向へつなげてもよいでしょう。 鎖骨周辺には血管、神経、リンパ組織などが存在するため、 強く押し込まないようにします。

胸郭出口と雲門

鎖骨周辺には、 首から腕へ向かう神経や血管が通過する領域があります。 施術者はこの解剖を理解しておく必要があります。

東洋医学ではこの周辺に「雲門」と呼ばれる経穴があります。 鎖骨下外側の位置を確認し、 強い圧迫を避けながら扱います。

前鋸筋

仰向けの状態から、 左右の前鋸筋周辺を扱います。 肋骨を直接強く押さず、 筋肉の位置を確認しながら行います。

大胸筋

前鋸筋周辺から、 大胸筋周辺へ施術をつなげます。 胸部は必ず事前の説明と同意を得て、 境界を明確にした上で行います。

最後のロングストローク

最後に、 足元から上半身、 さらに腕へと途切れず手を滑らせ、 全身を数回軽擦します。

部位ごとに行ってきた施術を、 一つの連続した体験としてまとめる工程です。

時間が残った場合は急いで終了するのではなく、 お客様の希望やその日の状態を確認し、 必要な場所へ戻ります。 新しい手技を無理に追加する必要はありません。

フェイスを追加する場合

全身の軽擦後、 希望があれば短いフェイスケアを加えることもできます。

手にオイルが残っている場合は特に注意し、 目や鼻へ指が滑らないようにしてください。 顔面への強い圧迫は避け、 軽い接触を基本にします。

SAFE FIRST.

「強ければ効く」という考え方は捨ててください。 痛み、しびれ、めまい、吐き気、息苦しさなどが現れた場合は 直ちに施術を中止します。

頸動脈、大腿動脈、腋窩など重要な血管・神経が集まる場所を 強く圧迫しないこと。 骨、脊椎、関節へ無理な圧を加えないこと。 また診断や治療を目的とした医療行為と、 リラクゼーション・ボディワークを混同しないことが重要です。

本ページで紹介している経穴や反射区に関する説明には 伝統医学・民間療法に由来する考え方も含まれます。 医学的な診断や治療効果を保証するものではありません。

PRACTITIONER TECHNIQUE

指を痛めない
指圧の基本

長時間の施術で親指や手首を痛める大きな理由の一つは、 指先の筋力だけで押そうとすることです。

施術者自身の身体を守るフォームを覚えることは、 お客様に安定した施術を提供するためにも重要です。

01. 押すより体重を乗せる

腕力だけで押し込まず、 身体の重心移動を利用します。 腕、肩、背中、腰を一つの連動した構造として使います。

02. 垂直圧を意識する

不必要に斜めから圧を入れると、 指や手首の関節へ負担が集中します。 基本は自分の肩から手までの軸を整えます。

03. 親指だけで頑張らない

親指を使う場合も、 他の指や手全体で支えます。 指の関節を過度に反らせてロックしないようにします。

04. 掌根を使う

太もも、臀部、背中など広い筋肉には、 親指だけではなく掌根を利用します。 広い面で力を分散できます。

05. 前腕などを使い分ける

適切なトレーニングを受けている場合には、 広い部位で前腕などを使う手技もあります。 骨や神経を避け、圧の方向と強さを理解して行います。

06. 姿勢

腰だけを曲げず、 膝や股関節を使って重心を下げます。 背中を無理に丸めた状態で長時間施術しないことが重要です。

07. 呼吸

自分自身の呼吸を止めないこと。 ゆっくり息を吐きながら重心を移動すると、 余計な力みが減りやすくなります。

08. 同じ場所を押し続けない

強い圧を一点へ長時間かけ続けません。 圧を入れる・抜くというリズムを作り、 お客様の反応を確認します。

09. 指を反らせない

親指を強く反らせた状態で 体重を乗せ続けるフォームは避けます。 手指や腱への負担につながります。

10. 手のケア

施術前後には手指を軽く動かし、 手首や前腕も含めてコンディションを整えます。 痛みが続く場合には施術量を減らし、 必要に応じて医療機関へ相談してください。

90

ここからが、
スタート。

以上で、90分の基本的なオイルトリートメントの流れは終了です。

ボディワークには数え切れないほどの理論、手技、 身体の見方があります。 経験を重ねるほど、 同じ手技でも人によって反応が異なることが分かってきます。

この初級講座で紹介したのは、 90分までの施術を組み立てるための基礎です。 一つの完成形として暗記するのではなく、 解剖学、安全性、姿勢、触れ方、コミュニケーションを学び続けながら、 自分自身の施術を育てていってください。

THIRD BODYWORK EDUCATION
ORIGINAL TEXT / THIRD
青山 直樹

長く施術を続けるほど、 身体について分からないことも増えていきます。 一つの流派だけが正解だと考えず、 解剖学、生理学、安全性、 そして実際に触れたときの相手の反応を大切にしてください。

DISCLAIMER

本ページは、リラクゼーションおよびボディワークを行う施術者向けの 一般的な教育コンテンツです。 医師、理学療法士、あん摩マッサージ指圧師その他の 医療専門職による診断、治療、リハビリテーションを代替するものではありません。

痛み、しびれ、急な腫れ、筋力低下、外傷、 発熱その他の症状がある場合は、 自己判断で深部への施術を行わず、 必要に応じて医療機関へ相談してください。

THIRDに掲載される各店舗・施術者は独立した事業者であり、 各自の責任においてサービスを提供しています。